2026年4月21日(火)
茨城県石岡市と桜川市を結ぶ上曽トンネルが昨年9月に開通して半年が経過した。日中の交通量は開通前の上曽峠を越えるルートと比較して約4倍に増加。従来は通行が困難だったトラックやバスなど大型車の増加が目立ち、両市は観光誘致や企業立地による地域の活性化に期待を寄せる。
■人の流れ変化
飾られたひな人形が歴史的な街並みを彩る桜川市真壁地区の「真壁のひなまつり」。毎年2~3月に開かれ、今年は6万5000人が訪れたが、同地区の市民団体代表、村上頼子さん(66)はこれまで少なかった石岡や鹿行地域からの来客増を実感。「初めて来た客の姿も見られた」と語り、トンネルの開通効果を実感している。
トンネルに近い石岡市八郷地区の農産物直売所では柿などが品薄となり、半年間で青果物の売り上げが約1割増えた。JA八郷経済部の土佐秀美部長は、収益増の好機とみて「ブドウやナシが出荷される秋に向け、栃木方面へのPRを強めたい」と意気込む。
上曽トンネルは幅員9メートルで片側1車線。石岡市上曽と桜川市真壁町山尾を県内最長の3538メートルでつなぐ。これまで両市を結んでいた約8キロの峠越えルートは、道幅が狭く急カーブが連続する交通の難所。トンネル開通は長年の地域の悲願だった。
総事業費は両市で計145億円に上り、国補助金や合併特例債などを充てた。所要時間は約7分と10分間短縮。特に大型車の通行が容易になり、安全で円滑な通行が実現した。
石岡市は25年8月に開通前の上曽峠で、同11月に上曽トンネルで、それぞれ3日間の交通量を調査。トンネルの1日平均交通量は、開通前と比べ4010台増の5411台で、普通車は3.5倍に、大型車は7.6倍に、それぞれ増えた。両市の関係者は「想定通りの効果」と胸を張る。
■観光客増図る
開通効果として、両市は観光客増加に期待を寄せる。茨城空港との利便性が飛躍的に向上した桜川市は「真壁のひなまつりやヤマザクラの時期にインバウンド(訪日客)を呼び込みたい」。いばらきフラワーパークや観光果樹園がある石岡市と連携し、周遊ツアーやPRの方策を模索する。
既存の工業団地への隣接地に拡張を計画する石岡市は今後、開通によるアクセス向上を企業にアピールし、誘致を促進させたい考えだ。
一方、開通がトンネル周辺以外の地域に知られていないため、効果の実感は薄いとする声も聞かれる。
石岡市小幡の温浴施設「やさと温泉 ゆりの郷」の鈴木充男支配人(60)は「栃木県などからの来客を増やすには、もっとPRが必要。石岡、桜川の両市や県が率先してPRを図ってほしい」と話した。