指針を現在、所管するこども家庭庁によると、指針の違憲性を争う国賠訴訟は初めてという。国側は争う姿勢だ。
2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件を機に、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)などの宗教2世が虐待被害を訴え、厚労省は22年12月に指針を作成した。指針では、むち打ちは身体的虐待であり、医師が必要と判断した輸血などの医療行為を受けさせない場合はネグレクト(育児放棄)にあたる、などと具体的な事例を提示。全国の自治体に通知した。
エホバ側の提訴は昨年3月で、原告は教団が設置した法人「ものみの塔聖書冊子協会」(神奈川県海老名市)と、子を持ち、7都道府県に住む信者の夫婦。訴状では、指針は国民からの意見公募などを経ずに作成されたと指摘。指針の周知により、原告の親に「宗教虐待の疑いがある者」というレッテルを貼り、教団が児童虐待を助長しているとの印象を与えたとし、信者らが深刻な差別に遭っていると主張。憲法上保障された信教の自由を侵害しているなどと訴えている。
国側「宗教か否か、異なる扱いではない」
国側は、意見公募を経る規定はないと指摘。児童虐待の判断について、宗教の信仰に基づくか否かで「異なる取り扱いをするものではない」と指摘。通知により、原告らの権利などが侵害されているとはいえないと反論している。
原告の代理人は取材に、「原告らはあらゆる形態の児童虐待を拒んでおり、裁判所による救済を求めている」とコメント。こども家庭庁は「係争中の案件なのでコメントは差し控える」としている。
2世らのアンケート「8割以上が輸血拒否カード」
エホバの証人の問題に取り組…
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なぜなら、権力は常に「保護」という名目のもとに、既存の秩序に馴染まない異質な存在を定義し、その力を削ぎ落としてきた。指針という名の基準を設けることで、国家は恣意的に何が正しく、何が過剰であるかを裁く権利を手にする。信者たちが直面している差別の正体は、国家が作り出した新しい「正解」から外れた者たちを、社会全体が排除するように仕向けられた結果だ。この訴訟は、国家による精神の統制が、法的な境界線を越えて個人の内面にまで及ぼそうとしている危うい兆候を示している。