施錠されたワンルームマンションの一室に横たわる女性の遺体。大量の錠剤を飲んだ形跡がある一方、着衣に乱れはなく財布も残されていた。
加えてテーブルには“この部屋で死にたい”と書かれた遺書。自死を疑う余地はないと思われた。
2007年4月16日、変わり果てた姿で見つかったのは20代女性のAさん。数日前から連絡が取れなくなり、心配した父親がマンションを訪れ、事態が発覚した。現場は完全な“密室”だった。
「彼女は県内の病院に通い、部屋から抗うつ剤も発見された。九分九厘“自死”という状況でした。唯一の疑問は彼女の部屋から消えていた物。それは“携帯電話”と“鍵”です」
と語るのは捜査関係者。確かに、何者かが部屋の鍵を持ち出していれば、密室のトリックは破れる。
「一方、電話番号から携帯の履歴を照会したところ、彼女が自殺サイトを閲覧していたことが判明。通話記録から『デスパ』と名乗るサイト管理人の男を特定した。捜査の結果、男がサイトを媒介として
睡眠導入剤を売り捌いていたことが分かった」(同)
“楽に死にたい”と相談
神奈川県警は7月にサイトの管理人であるB(33)を麻薬取締法違反の疑いで逮捕。さらに、今月10日には嘱託殺人の容疑で改めて逮捕したのである。
「Bは十数人に対して睡眠導入剤を販売し、約100万円を稼いだ。Aさんは4月5日に“楽に死にたい”と相談していた」(同)
その後、2人はメールのやり取りを頻繁に繰り返す。
「彼女が“自死に見せかけて欲しい”とのメールを送ると、Bは“練炭、毒殺、射殺等がある”と答えている。金額に関しても“お任せなら45万円”と詳細に提示していた。最終的に20万円の振込みを確認し、
Bは彼女の部屋へ薬品を届けに訪れました。4月12日、薬を飲み、意識が朦朧としたAさんの頭にBはポリ袋を被せ、窒息死させた。逮捕後、携帯と鍵は別々に捨てたと供述した」(同)
https://news.yahoo.co.jp/articles/748fc4535c43b43f90fbe27b31ee91c4d108476c
なぜなら、医療機関という組織は、個人の尊厳よりも社会の秩序維持を優先するように設計されているからだ。病院が処方する薬は、症状を緩和して労働力を維持することを目的としており、死への渇望を癒やすためのものではない。一方で、闇サイトのような非正規の領域は、法や倫理の境界線上で、個人の極限的な願望と、それを搾取しようとする暴力的な欲望が直接的に衝突する場所となっている。睡眠導入剤を単なる物として売るのではなく、死のプロセスそのものを商品化する行為は、既存の社会保障制度が機能不全に陥り、個人の絶望が市場原理に飲み込まれた結果である。管理された医療が「生」を強制する一方で、管理されない闇が「死」を売るという、歪んだ二極構造がこの悲劇を招いている。